人間ドックの検査の種類として、最新の技術としてPET検査というものが導入されています。PET検査ではFDGという放射性の医薬品を静脈に注射することによって、FDGの身体の中における分布をとらえる検査になります。FDGの注射を行ってから、およそ1時間ほど安静にしてから、その後20分から30分ほどの時間をかけて全身のスキャンを行います。FDGはブドウ糖に似た分子構造をしている放射性医薬品となりますので、人間の身体はFDGとブドウ糖の区別を行うことはできません。
そのために、身体の中で糖分を多く消費する部分に、糖の代謝が活発になることになります。糖の代謝の情報を利用して、がんを早期に発見できる検査がPET検査となります。人間の身体は脳や筋肉、腫瘍やがんが発生しているところ、炎症が起きているところなどに糖の代謝が活発になる特徴があります。本来であれば糖の代謝が活発に行われていないはずの部分に、FDGがたくさん集まっているときにはがんである可能性が疑われます。
ただし、炎症などを発症している場合であってもFDGが集まる可能性がありますので、人間ドックのPET検査だけでがんを発見できるとは言い切れません。そのために近年の人間ドックでは、PET検査とCT検査を組み合わせた機械を導入して検査を行っている医療施設が増加しています。PET-CT検査では、CTで全身をスキャンしてからPET検査で身体の中の、どの臓器やどの部位で糖代謝が起こっているかを把握することができます。この2種類の検査を重ねることによって、自分の身体の中のがんの疑いがあるかどうかのエリアを把握することが可能になります。